フランスの企業で働いて気づいたこと諸々
42歳の日本人おばさんがインターンとしての職を得るまで
フランスには、Alternanceというとっても素敵なシステムがあるのです。
私はフランスに来てから、まともに働いていたのは、UNESCOや大使館だったので、全くIT分野は未経験でした。 未経験、既婚、女性、42歳という条件で、日本ではまず再就職することはかなりの難関。(一応トライはしました。履歴書を何十枚も送ったので、実証済み)
きっと、フランスではそれが可能になるのはおそらくこのAlternanceというシステムのおかげなのでしょう。
Alternanceというのは、通常は大学生などの学生が、学校が終了する最終学年で企業に学生という身分で学校に行きながら働くというシステムで、例えば、月の3週間は企業、1週間は学校、というふうにしてきちんと企業からも報酬を得ながら、学業を続けながら就業体験ができるというシステムなのです。ただ、これは実は年齢制限はないので、誰でもAlternanceのコースがある学校を選んで、それから企業にAlternanceとして履歴書を送って雇ってもらえば、その企業が学費も支払ってくれ、毎月きちんと報酬も払ってくれるのです。
私は、子供が2人いるし、できれば自宅で学習したかったので、1年目ではまずOpenclassroomsという自宅で学習できるリモートの学校でフルスタックのエンジニアのコースを受け修了し、2年目はITでも需要のある分野を探し、DevOpsが学習できるDevUniversityという学校のAlternanceのコースに入学しました。
フランスでは、この歳で全く違う分野のものを1から学習して再就職することは、珍しいことではないので、私以外にも同じような年をとった学生がいっぱいいます。
ただ、Alternanceは企業を探すのがまず大変です。学校も、受け入れる企業を見つけてもらわないと、学費が払われないので、履歴書の書き方などもアドバイスしてくれます。
結局、私はフランスではよく使われる手法である(?)家族のコネで、Publicis Sapientという会社でDevOpsエンジニアのAlternanceとして働き始めることができました。
在仏17年目にして、フランス人を知る
このAlternanceは、期間が終わって運が良ければ企業から正式に社員になりませんか、というオファーが来ることも。
私の会社は、私の入る2ヶ月前に15人ほどのAlternanceを受け入れたのですが、そのうち1年後にオファーを受けたのは、4人だけ(泣)
私もこの11月にAlternanceが修了する予定ですが、未だオファーはなく…
ただ、今の会社でもし正社員になれなくても、1年勤務した経験があるわけですから、全く未経験ではないので、履歴書がその分グレードアップされるわけです。
また、私は在仏して17年にもなるのに、フランス人のことを全くわかっていなかったのだな、と考えさせられ、この1年個人的にはとても勉強になったのでした。
まず、フランスで働くということは、日本で働くこととは、全く違うのだということです(当たり前か)
私は、フランスにいながらも、日本の環境(大使館)で働いていたため、Publicisに入ってからも、最初はその日本人としての働き癖(?)が治らないままでした。大きく違うのは、日本人はとにかく上司や同僚の目を無意識に気にしながら働いているということ。
働き始めるときに、日本人であれば、勤務時間や、拘束されることなどを確認しますよね。
Publicisでは少なくとも、タイムシート?などもありませんし、何時からの勤務なのか、いまだによくわかりません。
まずは、私の職業柄そうなのかもしれませんが、みんなほとんど自宅でのリモート勤務で、週1(だいたい水曜日)に会社に出勤します。
そのため、南仏など地方に住んでいて、パリに週1出勤する、という人も少なくありません。
その出勤時も、みんななんとなく(?)朝9時半から10時くらいのあいだに出勤し、コーヒーや朝ごはん(クロワッサンやパンオショコラが大量に支給される)を楽しみながら、喋ってリラックスしながら一日が始ります。そのため、おそらく実際の勤務開始は11時くらいからなのでは?と思います。そうしているうちにあっという間に1時間たち、12時になると、みんななぜかすっかりお腹が空いています。
お昼は、フランスの会社はなぜかみんな大勢でお昼を食べに行きます。このカルチャーは日本にはないので、私は少しカルチャーショックでした。みんなでカンティーン(食堂)に行くか、近くのレストランに行って食べます。このお昼ご飯の時間、なんと2時間。ずーっと食べながら喋っていなければいけません(失笑)帰ってきても、コーヒーを飲んだり、会議した後に休憩でおやつを食べたり、何時に帰ったとしても、誰も何も言わないし、18時を過ぎるとほとんど人は残っていません。そのため、彼らが実際に本当に働いている時間なんて、一日正味3時間ぐらいなのではないかと感じています。
日本人としては、こんなことしていていいのだろうか、という思いを拭いきれないまま、毎日後ろめたい気持ちで仕事をしている日々です。
私は、子供を18時に迎えにいかなければいけないことから、他の人より少ない勤務時間になってはいけないと思い、いつも他の人より早めに勤務を開始しなければいけない、という気持ちで頭がいっぱいになっていて、早く勤務を始めるようにして8時半頃には勤務を開始していました。
また、私が最初に日仏の仕事の環境の大きな違いを感じたのは、監視している目がないということです。私は、日本で育ったので、いつも無意識に、この仕事は早く終わらせなければ怒られる(実際はそんなことはあまりないのですが)という気持ちがどこかにあり、とにかく仕事を終わらせたいという気持ちで仕事をしていたのです。それがどの国でも普通だと思っていたのですが、実はそれは日本だけの文化だったようだと、フランスの企業で働いてから初めて気づいたのでした。